循環器の薬の理解に役立つ! ≪心臓の興奮のしくみ≫わかりやすく解説
この記事では、「心臓の興奮のしくみ」について解説していきたいと思います。
私達の体において、必要な血液を送り出す「心臓」。
高血圧や心不全、不整脈などの循環器系の薬では、心臓についてよく理解しておくことが重要です。
難しい教科書で難しく考えてませんか?
この記事では、
・生理学、薬理学が苦手な薬学生(医療学生)
・これから薬理学を学ぶ学生、薬理学の成績を伸ばしたい薬学生(医療学生)
・循環器系の薬(高血圧、心不全、不整脈、狭心症)が苦手な薬学生
に読んでもらいたいです!
心臓の興奮のキーワードをつかむことで、今後の循環系の薬がぐっと理解しやすくなります!
なるべく簡単に考えられるように解説していきますので、ぜひ最後までよんでくださいね!
心臓を動かすためには?まずは全体像を理解しよう!
「心臓が興奮する」とは、心臓の心拍数が上がったり、送り出す血液の量(心拍出量)が上昇することを指します。
この活動のためには、心臓の筋肉が収縮しなくてはなりません。
筋肉の収縮には、神経が伝達され興奮することでCaイオンが細胞内に入り、筋肉にくっつくことで起こります。
つまり、心臓が興奮して収縮するには、Caイオンが必要になります。
心臓の興奮までの流れ
①ペースメーカーの興奮(自動能:自発的な活動電位)発生
②刺激伝導系
③細胞内にCaイオンが入り込み、心筋にくっつく
※外からCaイオンが入り細胞内の貯蔵Caイオンを分泌させる
④心筋の収縮、心臓興奮
この全体像と、ゴールを掴みましょう。
もっと詳しく!心臓が興奮する為に必要な鍵とは?
心臓を興奮させる為には、Caイオンを細胞内に増やす必要があります。
心臓の細胞を見てみましょう
細胞にはイオンの出入り口がたくさんあります。
このCaチャネルのゲートを開くことでCaイオンを細胞内に入れることができます。
普段は閉まっていてこのゲートは開きません。
このCaチャネルのゲートを開くにはカギが必要ですね。
✔活動電位による興奮の流れを理解しよう
1つ目の鍵🔑:活動電位
活動電位による興奮
細胞内のイオンの濃度は通常⊖の状態です
①興奮するために門を開けるように指示(活動電位)が出されると、まずNaイオンチャネルのゲートが開く
②細胞内が⊖から+イオンのNaイオンが入ることで、⊕に変化します。(細胞内脱分極)
③⊕がCaイオンのチャネルのゲートを刺激、Caイオンのチャネルのゲートオープン
④Caイオンが細胞内に入りこみ、貯蔵Caイオンを放出
⑤心筋興奮、収縮
✔交感神経による興奮の流れを理解しよう
2つ目の鍵🔑:交感神経
交感神経のβ1受容体は心機能をアップさせ興奮させることができましたね。
交感神経のことを忘れてしまった!という方は、以下の記事を参考にしてみてくださいね。
【交感神経の記事】
ごちゃつきやすい自律神経系、スッキリまとめる方法とは? - 薬ブロ.com
交感神経もCaイオンのチャネルのゲートを開くカギになります。
β1:β1受容体
Gs:Gsタンパク質
ACase:アデニル酸シクラーゼ
交感神経による興奮
①β1受容体刺激
②くっついてるGsタンパク質がアデニル酸シクラーゼ(ACase)上昇
③アデニル酸シクラーゼがATPをcAMP(サイクリックAMP)に変換
cAMP上昇⇧
④cAMPがCaイオンチャネルに作用、ゲートオープンへ(Caイオン流入促進)
Caイオンが細胞内に入りこみ、貯蔵Caイオンを放出
⑤心筋興奮、収縮
この2つの鍵によるCaチャネルオープン、心臓の興奮までの流れがとっても重要になります!
心臓を興奮させたいとき、または落ち着かせたいとき、この流れに作用する薬を用いることになります。
【循環器の薬の理解に役立つ! ≪心臓の興奮のしくみ≫わかりやすく解説】まとめ
心臓興奮までの流れをしっかり理解しておくと、この流れに作用する薬が多い、循環器系の薬の理解がぐっとしやすくなります!
しっかり復習しましょう!